2025年6月6日、行政書士法第19条が改正・施行されました。本記事では、改正内容を踏まえた上で、非行政書士による業務の排除がどの程度進むのかについて、具体例を交えて解説します。
目次
改正の背景と概要
従来、行政書士法第19条は以下のように定められていました:
行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第1条の2に規定する業務を行うことができない。
この条文では、「業として」という文言により、一定の継続性や反復性が求められる一方で、「報酬の有無」や「名目」をめぐってグレーな業務が横行していました。
令和7年の改正により、以下のように明文化されました:
行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第1条の3に規定する業務を行うことができない。
これにより、より厳格に非行政書士による有償業務が禁止されることになります。
条文比較(改正前・改正後)
区分 | 条文内容 | ポイント |
---|---|---|
改正前 | 行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第1条の2に規定する業務を行うことができない。 | 継続的・反復的な業務に限ると解釈されやすく、曖昧さが残る。 |
改正後 | 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受け、いかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第1条の3に規定する業務を行うことができない。 | 名目や対価の工夫による違法行為の回避が困難に。 |
排除は進むのか?
結論から言えば、「制度的には排除が進む方向へ強化された」と言えます。
今回の改正により、以下の点が明確になりました:
- 名目が翻訳料やコンサル料であっても、実質が行政書類の作成なら違法
- 一回限りの業務でも、有償であれば禁止対象に含まれる
想定される違反事例
❌ ケース1:「ビザ申請サポート」業者
業者は行政書士資格を持たず、依頼者の在留資格変更に関わる書類を作成。
名目上は「翻訳費」や「コンサル料」とするが、実態は報酬を得て行政手続きを代行。
改正後は「報酬の名目を問わず」違法となり、明確な摘発対象に。
❌ ケース2:「補助金申請コンサル」
実際には書類の大半を非行政書士が作成・申請。
改正後、「他人の依頼」「報酬を得て」「業として」行っているため、明確な違反行為に。
❌ ケース3:「設立パック」業者
行政書類作成を業務として行い、10万円〜30万円程度の報酬を得る。
名刺・広告では行政書士を名乗っていないが、実質的に行政書士業務を有償で行っている。
改正後は確実に違法と判断可能。
まとめと当事務所のご案内
改正行政書士法第19条により、非行政書士による有償の行政手続き代行が明確に禁止されました。これにより、不正な業務の取り締まりがより効果的に行われることが期待されます。
ミセイ行政書士事務所では、正規の資格者による適正な手続き支援を行っております。違法行為の恐れがあるサービスに不安を感じた場合や、安心して依頼できるパートナーをお探しの場合は、ぜひ当事務所までご相談ください。
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2025年6月14日
特定行政書士 御姓啓二